2024年6月5日、ナコンラチャシーマ県にあるサイアムレイワが栽培をしているソルガム農園にて、フィールドワークを開催しました。家畜の飼料不足に悩むタイ国内で需要が高まり、こちらの農園は主に同県内のヤギ牧場に向けた飼料として出荷します。約30ライ(約5ha)の農園で行ったフィールドワークに参加した方々には、たくさん歩いてもらう1日となりました。今回はソルガムのバイオマスエネルギー、水素エネルギー用途の実証実験の話と共に、タイ国内に於ける深刻な飼料不足について、課題解決に向けた当社の試みを参加者の皆様に学んでもらいました。ソルガムとは?ソルガム(Sorghum)は、イネ科の植物で、広く栽培される穀物の一種です。ソルガムは、高温や乾燥に強い特性を持つため、アフリカやアジアの乾燥地域を中心に栽培されています。用途は主に以下の通りです食用ソルガムは、主食として利用されることが多く、特にアフリカやインドなどで広く消費されています。ソルガムの粉はパンや粥、焼き菓子などに使用されます。飼料ソルガムは家畜の飼料としても重要であり、特に牛や羊の飼料として利用されます。バイオ燃料ソルガムはエタノールなどのバイオ燃料の原料としても利用されています。ソルガムの茎や葉、特に収穫後のバガス(搾りかす)は、バイオマス燃料の生産に使用されます。工業用ソルガムからは、紙や繊維、アルコール飲料などの工業製品も生産されます。ソルガムは、多用途であり、特に持続可能な農業や環境保護の観点からも注目されています。サイアムレイワで扱っているソルガムの品種は5メートル以上にも及び、この日は約2メートルほどに育っていました。参加された方々も初めて見るソルガムという作物に、驚きを隠せない様子です。近年の飼料不足の原因とは?近年、世界中で飼料不足が深刻化しています。その背景にはさまざまな要因が複雑に絡み合っています。ここでは、飼料不足の主な原因について当社の見解を解説します。1. 気候変動の影響気候変動は飼料生産に大きな影響を与えています。特に干ばつは、飼料作物の生産量を大幅に減少させる主要な原因です。乾燥地帯では、飼料作物の収穫が著しく減少することが多く、家畜飼育に深刻な影響を及ぼします。さらに、豪雨や洪水も飼料作物に悪影響を与え、作物の腐敗や土壌の流出を引き起こします。異常気象による予期せぬ気温変動や降水パターンの変化も、飼料生産を不安定にしています。2. 経済要因経済的な要因も飼料不足に寄与しています。肥料や燃料の価格が上昇すると、農業生産のコストが増加し、それに伴い飼料価格も上昇します。また、農業分野での労働力不足も飼料生産に影響を与え、生産量の減少を招くことがあります。3. 農地の競合農地の利用競争も飼料不足の一因です。食料作物の生産が優先されることで、飼料作物の生産面積が減少することがあります。さらに、バイオ燃料の需要が増加すると、飼料作物が燃料用に転用されるケースも増えています。4. 病害虫の蔓延気候変動や国際的な移動に伴い、新たな病害虫が広がり、飼料作物に被害を与えることが増えています。これにより、飼料作物の収穫量が減少し、飼料不足を引き起こす原因となっています。5. 国際貿易の影響国際貿易の制限や輸出入規制の強化も、飼料供給に大きな影響を与えます。パンデミックや地政学的なリスクにより物流が滞ると、飼料の供給が不安定になり、飼料不足を招くことがあります。6. 著しい人口の増加人口増加に伴い、家畜飼育も増加し、飼料の需要が高まっています。さらに、都市化によって農地が都市開発に転用されることで、飼料作物の生産面積が減少することもあります。飼料不足解決への道これらの多様な要因が絡み合い、飼料不足が発生しています。持続可能な農業の推進や新しい飼料作物の開発などが、飼料不足を解決するために重要な課題となっています。サイアムレイワは、これらの問題に対して積極的に取り組み、持続可能な未来を築くための努力をこれからも続けてまいります。