プラスチックは便利な素材であり、さまざまに活用されています。現代の私たちの生活に欠かすことはできないと、いっても過言ではありません。しかし海洋汚染やマイクロプラスチック問題など、環境に負荷をかけているのも事実です。そこで今回は、サトウキビなどからつくられる環境負荷が低いバイオマスプラスチックについて、メリット・デメリットを含め解説します。バイオマスプラスチックの知見を深めたい方は、ぜひ、参考にしてください。バイオマスプラスチックとはそもそもバイオマスプラスチックとは何でしょうか。バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を表す概念で、「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」のことです。つまりバイオマスプラスチックとは、石油由来ではない植物などの再生可能な生物資源を原料としたプラスチックのことです。そしてバイオマスプラスチックは、持続可能性の高さや、カーボンニュートラルへの貢献度から近年注目されています。ここではカーボンニュートラルや通常のプラスチックとの違い、そして近年大きな問題となっている海洋汚染など、さまざまな観点からバイオマスプラスチックについて解説していきましょう。カーボンニュートラルとはカーボンニュートラルとは、「人為的な発生による温室効果ガスの排出量と、吸収量を均衡させる」という考え方とその取り組みのことをいいます。日本は2050年カーボンニュートラルの実現、2030年度には温室効果ガスを2013年度比で46%削減することを目指し、さらに50%の高みに向け、挑戦し続けることを世界に向けて発信しました。バイオマスプラスチックは温室効果ガス排出削減が可能なため、カーボンニュートラルに貢献できると考えられています。海洋汚染やマイクロプラスチック問題プラスチックゴミによる環境汚染は、今や深刻化しています。廃棄されたプラスチックは最終的に海へとたどり着きますが、ある研究報告では、海に流れ込むプラスチックごみは年間500万から1,300万トンにものぼると言われています。このままいけば2050年には、海のプラスチックごみは魚の量を上回ることが予測されています。またマイクロプラスチックごみの問題も重大です。マイクロプラスチックとは、5mm以下の微細なプラスチックごみのことで、ペットボトルやレジ袋などが紫外線に当たったり海の波などに砕かれたりして、発生します。海中のマイクロプラスチックは、魚が誤って餌にするなど、生態系に大きな影響を与えると言われています。また、食物連鎖を通じて人体に健康被害を及ぼす可能性も指摘されています。通常のプラスチックとの違いここでは、通常のプラスチックとバイオマスプラスチックの違いを簡潔に解説します。バイオマスプラスチックと通常のプラスチックの大きな違いは、以下の通りです。通常のプラスチック主な原料は石油。石油を精製する過程で得られる「ナフサ」という油を使用して、さまざまなプラスチック製品が作られる。バイオマスプラスチック植物などの再生可能な生物資源(バイオマス)を原料にして作られる。バイオマスプラスチックは何から作る?では、バイオマスプラスチックは具体的にどのような原料から作られるのでしょうか。ここではバイオマスプラスチックの種類と原料、そしてバイオマスプラスチックの原料として注目の高いサトウキビについて詳しく解説していきます。種類と原料種類バイオPE・バイオPP・バイオPET等原料トウモロコシ、ジャガイモのでんぷん、サトウキビの廃糖蜜、トウゴマのひまし油など、植物由来の原料製法・発酵法サトウキビやトウモロコシなど植物原料を発酵させ、得られるエタノール等の中間原料からプラスチックを作る製法・化学合成法糖や油脂などの植物原料から、樹脂を化学合成してプラスチックを作る製法機能化石由来のプラスチックと比較して、バイオマスプラスチックは、1~10年の短いサイクルで再生産が可能参照:環境省「プラスチック資源循環」バイオマスプラスチックの素材として注目!サトウキビの特徴バイオマスプラスチックの原料として、有効活用されているものの一つがサトウキビです。なぜサトウキビがバイオマスプラスチックの原料として有効なのか、その特徴を順を追って述べましょう。サトウキビは、大気中のCO2を多く吸収できる光合成の能力が高い成長過程の光合成作用でCO2を多く吸収するため、廃棄物として焼却される際にCO2排出量は、光合成によって吸収した大気中のCO2量と同等(CO2を実質ゼロにできる)と考えられるつまり、サトウキビを原料としたプラスチック製造は、カーボンニュートラルに貢献できる生産性が高いため、安定したエネルギー源となり得る収穫されたサトウキビは、製糖工場に集められ砂糖に加工されるため、すでに収集システムは確立しているサトウキビの生育地域はブラジル中南部・北東部で熱帯雨林は適さない為、アマゾンを破壊することはありません。また世界の多くの地域で生産可能という特徴があります。サトウキビからポリエチレンを作る方法サトウキビで作られる代表的なバイオマスプラスチックは、「バイオポリエチレン」と呼ばれるポリ袋です。サトウキビからつくられるバイオポリエチレンの製法は、以下の通りです。 サトウキビの糖蜜を発酵し、バイオエタノールを精製するバイオエタノールからエチレンを抽出エチレンを化学的に重合し、ポリエチレンを作るポリエチレンを加工・成形して、プラスチック製品が完成する参照:プラスチックのはてな(一般社団法人プラスチック循環利用協会)バイオマスプラスチックのメリット・デメリットバイオマスプラスチックの主なメリットと、デメリットをそれぞれご紹介します。メリット:化石燃料の軽減化石由来の資源は無限ではありません。そのためいずれ枯渇します。しかし、植物などを由来としたバイオマスプラスチックを生産・活用することで、化石由来の資源の依存度を減らすことが可能です。メリット:カーボンニュートラルの実現前段で解説したように、成育過程でCO2を吸収する植物素材なら、廃棄したときに排出するCO2を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現に貢献が可能です。カーボンニュートラルの実現は、近年深刻化している地球温暖化の抑止につながるため、持続可能な社会構築への一歩となり得ます。メリット:加工製品が豊富バイオマスプラスチックは、通常のプラスチック製品の種類と比較しても引けを取りません。レジ袋や包装容器にはじまり、包装フィルム、インクや繊維製品、電気・情報機器、OA機器、自動車の部品など、多義に渡った加工製品に使用することが可能です。デメリット:製造コストバイオマスプラスチックの大きなデメリットとして、コストの問題が挙げられます。石油由来のプラスチックと比べ、バイオマスプラスチックには膨大な原料を必要とします。しかし日本のサトウキビの自給率は、約20%前後と低く、大部分は海外からの輸入に頼っているのが現状です。今後は国内での自給率を高めることが課題です。デメリット:品質通常のプラスチックと比べて、バイオマスプラスチックの品質は大きく劣ることはありませんが、強度など品質の点で多少劣る場合もあります。しかし、短いサイクルで再生産が可能なため、長期的な視点で見れば、大きなデメリットとは言えないでしょう。日本の企業取り組み事例サトウキビのバイオマスプラスチックを活用した商品の販売など、国内の取り組み事例をご紹介します。平川産業株式会社平川産業株式会社は、環境に配慮した商品としてサトウキビ由来のバイオマスポリエチレンを使用したポリエチレン袋「KIBIポリ」を開発しました。脱炭素に大きく貢献が可能な製品です。参照:平川産業株式会社アスカカンパニー株式会社アスカカンパニーでは、植物由来94.5%で出来たプラスチックで商品の生産を開始しました。化粧品や洗剤や食品用途など、幅広い分野で活用されているフィルム包装容器や、スタンディングパウチ用スパウトなどです。工場で3日間連続生産を行い、品質並びに生産性の確認を行い、製品化されています。参照:アスカカンパニー株式会社ヤマトマテリアル株式会社ヤマトマテリアル株式会社じは、サトウキビを原料としたプラスチックボトルの開発を行っています。バイオマスPEボトルは、植物由来成分96%、バイオマスPETボトルは植物由来成分30%と、環境に優しい製品となっています。耐熱性・耐衝撃性・加工性などは、従来のPET・PEと、ほぼ同等の性能です。参照:ヤマトマテリアル株式会社日本クロージャー株式会社日本クロージャー株式会社では、サトウキビ由来のポリエチレンを原料の一部に使用した再生可能で環境負荷を低減したキャップを開発しました。石油由来原料100%製品と同等の品質を確保したカーボンニュートラルの実現に向けて、製品開発に取り組んでいます。参照:日本クロージャー株式会社大成化工業株式会社大成化工業株式会社は、 CO2排出の抑制の推進としてサトウキビ由来ポリエチレン(バイオマスポリエチレン)を使用した各種容器の開発を行っています。石油由来ポリエチレンと同等の性能を備えています。参照:大成化工業株式会社まとめサトウキビなどからつくられる環境負荷が低いバイオマスプラスチックについて、メリット・デメリットを含め解説しました。プラスチックは欠かせない素材だからこそ、環境への負荷が低い製品を活用することが重要です。身近に使用するプラスチックの製品を見直し、ぜひ、持続可能な社会貢献へと繋げていってください。